無人ホテル運営の裏側

無人ホテル運営の裏側

人材不足時代に生き残る無人ホテル経営術 〜経費を制する者がホテルを制す〜

近年、ホテル業界では人材不足が深刻化し、無人ホテルの導入が急速に進んでいます。

また、物価高騰や電気代の上昇など、ホテル運営には見えにくいコストがじわじわと経営を圧迫してきています。だからこそ、いま最も重要なのは「経費の最適化」。本記事では、無人ホテル経営におけるリアルな経費とその算出方法、優秀な経費率の目安、経費を抑える実践的な方法まで、現場目線で紹介します。

今日の内容

1.  無人ホテルの主な経費内訳
2.   経費の算出方法
3.  経費率の目安と「優秀」とされるライン
4.  経費を抑えるための具体的なアドバイス

無人ホテルの主な経費内訳(沖縄・28室・1Kタイプの例)

清掃費:滞在1回あたり3,000円。長期滞在が増えると回数が減って利益率UP。

リネン代:1滞在あたり700円。

OTA手数料:売上の15%が目安(Booking.comや楽天トラベルなど)

光熱費:1室あたり月15,000円想定(エアコン・電気代含む)

Wi-Fi:1室あたり月1,500円前後(個別ルーター方式)

消耗品:1室あたり月2,000円前後(アメニティ一式)

システム利用料:PMS:70,000円/月、タブレットチェックイン:42,000円/月、スマートキー:15,900円/月

点検・保守費:消防設備やエレベーターなど、月30,000円を目安

管理代行費:売上の11%(CS対応・料金設定・OTA管理など)

経費の算出方法(例:28室/稼働率70%/平均宿泊単価7,500円/平均2泊)

月間宿泊数:28室 × 0.7 × 30日 = 588泊

滞在数(=清掃回数):588泊 ÷ 2泊 = 294滞在

清掃費:294滞在 × 3,000円 = 882,000円

リネン代:294滞在 × 700円 = 205,800円

OTA手数料:売上(588泊 × 7,500円) × 15% = 約661,500円

その他は固定費または1室単価 × 28室で計算

→ このケースの経費率:約59%(システム料含む)

経費率の目安と「優秀」とされるライン

タイプ一般的な経費率優秀とされるライン
民泊(1〜数室)20〜40%25〜30%以下
無人ホテル(中規模)50〜60%40〜50%以下
有人ホテル60〜70%以上50%以下

無人ホテルは人件費を抑えられる分、清掃・システム・外注費がカギになります。


 

経費を抑えるための具体的なアドバイス

✅ 長期滞在を促す

→ 清掃・リネン回数を減らすことでコストダウン。

✅ OTA依存を減らし、自社予約を増やす

→ 手数料15%が大きな負担。Google Hotel AdsやSNS活用を。

✅ アメニティを見直す

→ 高級アメニティを標準提供する必要はない。必要最低限で十分満足度は保てます。

✅ 光熱費の監視と見直し

→ エアコン設定温度のガイドやLED化で節電。

おわりに

無人ホテルは「手間をかけずに儲かる」イメージを持たれがちですが、実際は細かな経費の積み上げとの戦いです。利益を最大化するには、売上よりも経費の最適化が第一歩。

これから無人ホテルを始めたい方、すでに運営していて利益が出にくいと感じている方にとって、この収支シミュレーションがヒントになれば嬉しいです。